春が近づいた2016年のある日
東京・港区の公園に
猫のゆずちゃんが現れました
ゆず
そのときは、まだ名前もない野良ちゃんです。
毎日のように同じ場所に現れては、心細そうに鳴いていました。
飛び猫ほたるはその姿を何度も見かけていました。
ガリガリに痩せているのが気になります。

冷たい雨の夕方。
その猫は、犬の散歩中だった飛び猫ほたると友人の後を
鳴きながらついて来たのです。
犬が2匹もいるのに、怖いはずなのに、
びしょ濡れの姿で必死に助けを求めて来ます。
どれだけの勇気を振り絞ったのか、
このまま放っておいたらこの猫はどうなるのか。
飛び猫ほたると友人は、その猫を保護することにしました。

飼い主でもない二人に軽々と抱っこされたその猫は、
大人しくキャリーに入りました。
翌日健康診断を受けてみると、
華奢な姿から子猫かと思っていたその子は、もう大人でした。
でも年齢はわかりません。
どうやら老猫ではないようですが、歯がとても傷んでいて、
これでは物を食べられなさそうです。

とりあえず歯の治療をした後、
いったん飛び猫ほたるの家で暮らすことになり、
そこでゆずちゃんという名が付けられました。
飛び猫ほたるにとって、猫とのこんな出会いは初めてでした。

ゆず
そしてそれがきっかけとなって、
2016年の春から夏にかけて5匹の猫を保護したのです。
その中にはお母さんと子供たちという家族連れもいました。
そんな経験から、
このあたりにはまだ避妊手術を受けていない猫がいること、
これからも子猫が生まれてくる可能性が高いことを知りました。
もしもそうなら、せめて子猫たちには里親さんを見つけてあげたい!
飛び猫ほたるは、この地域の猫たちの保護譲渡活動をやろうと決心し、
「猫坂8丁目」をつくりました。
ゆずちゃんがご縁で親しくなったやよいも一緒です。
獣医のりっつんと弁護士のたろうちゃんにも参加してもらうことになりました。
そして2016年の秋に向かい、
本格的に保護譲渡活動を行うための準備が少しずつ整って行きました。
ゆず
それにともなって、
東京都やその周辺の自治体で保護される子猫たちも受け入れ、
同じように里親さんを見つけてあげようという思いが生まれました。
自治体から保護猫を譲渡してもらうためには、
非営利団体になる必要があります
そこでもうひとり、えみちゃんが参加してくれることになりました。
えみちゃんと飛び猫ほたるは長年の友人です。
2017年3月。
「猫坂8丁目」は非営利任意団体として活動を始めました。
「猫坂8丁目」──通称「ねこっぱち」です。
小さなチームですが、猫の安全と安心を一番に据えた活動を、
地道にコツコツやっていきたいと思っています。